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様々な企業がデータを中心に大きなビジネスを起こし、一国の経済を左右するようになるなど、近年はデータの利活用が大きな力を持つようになった。一方で、日本では情報系人材が不足し、データ利活用の面で世界に後れをとっている。こうした現状を打破する人材の輩出を目指す学部として、関西大学が2025年にビジネスデータサイエンス学部を新設する。アクティブラーニングを中心に実践力を磨く同学部の学びの特徴について、学部長に就任予定の鷲尾隆教授に話を聞いた。
取材・文 松平信恭
構成 副島光基(大学通信)
石油に代わり、「データ」が21世紀の経済社会の最重要資源になったと言われるほど、昨今はデータの重要性が増している。データを通して経済社会を洞察し、それをビジネスや社会課題の克服に生かすことで変化を起こせる人材が求められている。
こうした社会情勢を背景に、関西大学は2025年4月、新たにビジネスデータサイエンス学部を開設する。マーケティング、経営、データサイエンスなどの知識を学ぶだけでなく、学んだ理論やスキルを実践で確かめる機会を豊富に用意。即戦力となるビジネスデータサイエンティストの育成を目指している。学部長に就任予定の鷲尾隆教授は、「データを扱える人材が圧倒的に不足している日本社会の課題解決に寄与したい」と話す。
「データを上手に扱い、人々の生活に応用していけるかは、その社会が今後繁栄していけるかの大きな分水嶺になっています。日本はデータの利活用の面で世界に後れをとっており、その一番の原因が人材不足です。データを扱い、世界で活躍できる人材を日本社会の中から輩出していかなければ、日本経済は浮上せず、国際社会でのプレゼンス向上も見込めません。ひいては、それが我々の日常生活の豊かさにも直結すると思いますので、本学部は社会にとって非常に重要な役割を果たす教育機関になると信じています」
1年次からの実践的教育によって課題解決に挑む力を育む
文理の枠にとらわれないきめ細かな教育を特色とするビジネスデータサイエンス学部。ビジネスとデータサイエンスの両者を体系的に学び、実際の企業などが持つ「生きたデータ」を用いて実践的なスキルを身につけながら、「考動力」(自ら考え、行動する力)を高めていくことを狙いとしている。
同学部の授業は大きく、ビジネス系科目、データサイエンス系科目、アクティブラーニング系科目の3つに分類される(図1参照)。実務家を含む経験豊かな教員陣による専門教育を通して、データサイエンスとビジネスを結びつけながらイノベーションを創造するリーダーの育成を目指している。
ビジネス系科目では、「マネジメント系」「会計系」「マーケティング系」「経営情報系」の4つの分野を体系的に学修。ビジネス変革に必要なヒト・モノ・カネ・情報について幅広く学ぶことが可能だ。データサイエンス系科目には、数学やデータリテラシーなどの「プラットフォーム系」、統計などの「データサイエンス系」、機械学習や深層学習などの「AI系」の3分野を用意。物事の関係性や意味をデータから抽出してビジネスに生かすための能力を、重点的に伸ばしていく。
専門教育を履修する上で必要となる基礎知識は、ゼミに代表される少人数制の手厚い初年次教育で修得できるので安心だ。また、データサイエンスを学ぶ上で必要となる数学の知識に関しても、基礎的な内容を学ぶ入門科目を設定。苦手意識がある人でもビジネスに関する数学を楽しく学び、理解を深めていくための体制が整っている。
このように幅広い学びが用意される中で同学部が最も重視しているのが、1年次から座学の講義と同時並行で展開される実践的なアクティブラーニング系科目だ。ビジネス系科目とデータサイエンス系科目の“つなぎ役”となっており、身につけた知識やスキルをビジネス現場の実課題に応用する経験を通して、学生が主体的に学ぶ科目群だ。課題解決や価値創出を目指して他者と協働し、答えを導き出す力を育むための授業が多く、企業の実データを活用した学修や、さまざまな産学連携プログラムも用意されている。
時代に合わせて成長するダイナミックな教育
AIの進化に代表される近年の技術革新は、学生の学び方にも急激な変化をもたらしている。たとえばプログラミングを学ぶ際も、以前のように基礎的なコマンドを覚えることから積み上げ式で学ぶのではなく、まずはChatGPTなどにプログラムを書かせてみて、それを動かした時に生じたエラーの原因を探りながら、プログラミング言語を習得する学生が増えている。
ビジネスデータサイエンス学部は時代の転換点に設立される学部として、大規模言語モデルを授業で積極的に活用するなど、新たな教育の形を常に模索しながら成長を続けていく。技術は絶えず進歩しており、教育の方法が100%完璧な形で構築されることはない。世の中の変化に素早く対応していくのは、学生に対してその時々の最善の教育を提供することで、卒業後に社会で活躍してほしいという思いがあるからだ。
ビジネスの現場ではさまざまなバックグラウンドを持った人と協働することが求められる。アクティブラーニングのように多様な仲間と協働する経験を重視した教育を行うのも、時には他者と本音でぶつかり合いながら、課題解決に立ち向かうたくましさを育むことの大切さを教員陣が実感しているからこそ。
鷲尾教授は受験生に向けて次のようにメッセージを送る。
「学部名にデータサイエンスという言葉を含むので、数学的、科学的なきれいなことをやる学部ではないか、というイメージを持つ人もいると思います。ただ実際にやることはビジネスの現場に近い、様々な意味でリアルな学びになるでしょう。今は多様な人が協働しないと、社会をよくしていけない時代です。一人ひとりに個性があるからこそ、他の人にはできない見方で社会を捉え、さまざまな課題を見つけ出せるのです。自分の個性を生かして社会をよりよくしていきたいと考える、多様な人に入学してもらいたいと願っています」
新キャンパス「吹田みらいキャンパス」が学びの拠点
ビジネスデータサイエンス学部の学生は、2023年10月に開設された「吹田みらいキャンパス」で学ぶことになる。同キャンパスは文理10学部が設置されている千里山キャンパスの北東2.2kmに位置し、関西都心部へのアクセスや、企業・自治体との連携にも便利な立地となっている。キャンパス内には国際学生寮やグラウンドも揃い、留学生との交流や体育会クラブの活動が活発に行われるなど、多様な人が集う活気に溢れる環境だ。