大学と社会をつなぐ共創プラットフォーム「TRY FIELD」立命館大学に新たな挑戦を創出する学びの場が誕生

大学と社会をつなぐ共創プラットフォーム「TRY FIELD」立命館大学に新たな挑戦を創出する学びの場が誕生

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立命館大学は2024年4月、大阪いばらきキャンパス(OIC)において学生たちの挑戦心をかき立てる新拠点「TRY FIELD」の運用を開始した。最先端の設備を整えた新棟も完成し、デジタルとクリエイティブが融合する新たな学びを展開。挑戦と失敗を繰り返しながら、さまざまな創造に取り組むことができる場の具現化に向けた動きを加速している。立命館が大学全体で推進する「社会共創」の取り組みを中心に、社会共創推進本部の三宅雅人本部長に話を聞いた。

聞き手 井沢 秀(大学通信)

多様な人々が参加する社会共創 地域課題を集め、解決を目指す

―大阪いばらきキャンパス(OIC)には2024年、映像学部と情報理工学部が移転しました。新棟の運用も開始されましたが、教育にはどのような変化が起こるのでしょうか。

これまでのOICは社会科学系学部を中心とするキャンパスでしたが、24年から映像学部と情報理工学部という理系の2学部・研究科が加わり、文系・理系の学生が一つのキャンパスに揃うことになりました。専門分野に関係なく人材育成やワークショップといったさまざまな取り組みを受講できるようにするなど、多様な学生が混ざり合いながらの教育・研究を進め、いわゆる「総合知」と呼ばれる新たな学びを展開していきたいと考えています。

OICは都市部に近いキャンパスであることも特徴の一つです。「アジアのゲートウェイ」を掲げるキャンパスとして世界に向けた発信を続けていくのはもちろんのこと、大阪や京都の企業や自治体にコンタクトしやすい環境を生かした「社会と接続した学び」の進展にも期待しています。

―地域社会との共創を推進する場としての「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」構想のことですね。具体的にはどのような取り組みなのでしょうか。

私たちはOICを含めた立命館のキャンパス全体を、世の中の課題を集め、人々が協力して解決策を探るためのハブとしての機能を持つ「共創の場」として、社会へ提供したいと考えています。企業や自治体をはじめとする地域の方々には、「問題があることは分かっているが、どう解決したらいいのか分からない」といった「生の社会課題」を気軽に持ち寄り、大学へ相談してほしいのです。本学の各学部の強みを結集して、社会の人々と大学の関係者が交わり合って議論をすることで、既存の学問と学問の間の境界領域に「新たな学問分野」が生み出されることを目指しています。

社会共創を行う上では、これまでの専門領域から飛び出る部分が必ず出てきます。だからこそ、さまざまな学問分野の連携が必要です。また、社会共創の発展のためには、多様な人材で形成されたチームで議論を重ねていくことも重要です。

こうした取り組みを進めていくために必要なハードとして整備されたのが今回の新棟であり、それらを活用しながら社会共創を全学的に動かしていくのが社会共創推進本部の役割です。社会共創推進本部には各学部の教員がフェローとして参加するほか、「社会共創アドバイザー」という形で企業や自治体、他大学の先生など学外の方々にも加わってもらい、「ラーニング」「イノベーション」「ソーシャル」という3つのチームに分かれて社会共創の議論を進めていきます。

「ラーニング」は、学部の専門的な学びを越えて必要な「プラスαの人間力」とも言える「卒業後に社会から求められる力の養成」について。「イノベーション」は、大学が社会との接点を持つための産学連携について。「ソーシャル」は、自治体の課題や、脱炭素、SDGsといった、将来的な解決が必要となる大きな社会課題について。それぞれのチームが各テーマの議論を深め、その具体化に向けた活動を行います。

これらの取り組みからは、仮に本学への直接的なメリットが何もなかったとしても良いと考えています。短期的な目線ではなく、5年後、10年後といったスパンで何らかの成果につながればいい。さまざまな人との関わりから研究にプラスとなる発想が生まれることも多いので、まずは多くの人にこの場に足を運んでもらいたい、というのが願いです。

リアルとバーチャルを活用して社会の人々と交わる中で学ぶ

―学生にとっても新しい学びが展開されますね。

これまでの大学の学びは、教員が一方的に教え、それを学生が吸収する形が主流でした。それとは大きく異なる学びの形として、学生は生きた課題解決の過程を実際に体験しながら、教員だけでなく社会の人々からも多くのことを学ぶようになります。

学内では今後、数多くのワークショップや人材育成のプログラムを展開予定です。刺激的で、すぐに使える実践的な内容のものを提供していきたいと考えています。

―初等・中等教育との連携も強化しています。

先日も高校の生徒と立命館の学生が生成AIを使いながら、大学生が一方的に教えるのではなく、一緒になってアイデアを形にしていくワークショップを実施しました。2、3年の年齢差でもジェネレーションギャップや考え方の違いがあり、異なる発想が得られた学生も多かったようです。

大学の学びは高校までの受験勉強とは異なり、講義があり、専門科目があり、研究をするというスタイルです。大学のことを「勉強をする場所だ」と認識していたとしても、高校生がその学びのスタイルをイメージするのは難しい。大学の学びを理解してもらうには、実際に研究をしているところを見てもらうのが一番です。

高校と大学が連携してその問題を解決していくことを念頭に、新棟には建材として透明なガラスを多用し、ホールや廊下に研究の成果物やポスター展示を多数配置。大学で何が行われているのかをいつでも見てもらえるような作りとしています。すべての空間が開放的になっており、廊下からはガラス越しに研究室の様子を見ることもできます。

キャンパス内やその周辺で実証実験を行うことも可能です。廊下の幅が広く取られているのは成果物を置くためだけでなく、掃除ロボットや警備ロボット、ドローンなどの実証実験を行うためでもあるのです。

―新棟には最先端の施設や設備も多いですね。

「Learning Infinity Hall」は、座席が階段状に配置されたグループワークを行うための教室です。それぞれの座席にモニターがついており、各グループの発表を教室全体に流したり、外部からのアクセスをスムーズに映し出したりするなど、最先端の講義を実現するための環境が整っています。

学生食堂の「OIC FOOD PARK」には、食事をしながらプレゼンができる設備を用意。食マネジメント学部の学生が地元の農産物に関する課題解決をするような場合など、実際の食べ物を扱いながらディスカッションを行うことも可能です。

さらに、新たな仕掛けとしてキャンパス内にはラーニング・コモンズを多数配置。自由に使える多様な座席が、新棟だけで500席近くもあります。講義室の周辺には一人で勉強できるオープン席に加え、オンライン講義などにも対応した囲いや吸音パネルを備えた席も用意。グループで課題を考えるような場合は、ホワイトボードとテーブルが配置された「共創エリア」の利用も可能です。

このようにキャンパス全体が、リアルとバーチャルを行き来しながら何かにトライするための充実した環境となっています。この環境を用途に合わせて活用することで、さまざまな学びのスタイルを学内で実現できます。

挑戦と失敗を繰り返した経験が社会を生き抜くマインドを醸成

―まさに、一人ひとりの挑戦を後押しする「TRY FIELD」ですね。

三宅雅人教授

何でも試してみる。トライしてみる。それが「TRY FIELD」のコンセプトです。新しいことに挑戦するハードルは高いですが、本学の学生には躊躇なくチャレンジしてほしいですし、チャレンジするのは良いことだと感じてほしい。立命館がこの場所を作ったのは、「何かにチャレンジできる環境を作ること」は大学の使命であると考えているからです。

とはいえ、単に場所を作って「好きなように遊び、さまざまなことにトライしていい」と言われても、「転んで」しまえば痛いことに変わりはありません。学生が「怪我」をしないよう、安全に「転ぶ」ことができる環境作りが大切です。

多くの大学では学生が失敗する前に教員が手を差し伸べがちです。私たちは失敗する様子を遠巻きに見守る環境をあえて作り、実際に失敗を体験してもらいます。何回失敗しても、何回トライしてもいいので、学生には「なぜ失敗したのか」を考え、その経験を次に生かしてほしいのです。

何度も挑戦した経験が4年間積み重なると、どんなことが起きても立ち上がり、自分からまたチャレンジできるマインドを持った人材が育っていきます。そのような人は将来どの分野に行ったとしても、どんなポジションに就いたとしても、楽しく仕事をして、楽しくチャレンジしながら生きていけるのではないでしょうか。

チャレンジすることの面白さや達成感を、多くの人にこの「TRY FIELD」で味わってほしい。そのための教育は大学教員だけでは不可能であり、社会のさまざまな人にも参加してもらっています。みんなで育てた人材が、将来的に社会で活躍するようになればいいですね。

―企業との連携プログラムについても教えてください。

現在は社会が変わるのがあまりにも早く、大学が最先端のことをすべて教えるのは不可能な状況です。そこで企業や専門家の方をお招きして、最新の情報を教えてもらう機会を提供しています。

象徴的な施設の一つが「Microsoft Base Ritsumeikan」です。日本マイクロソフトと連携して、現役エンジニアの方を講師に最先端のAIなどの話をしてもらっています。自社製品のPRなどは一切なく、あくまでも現在の最先端の技術がどうなっているのかをテーマとした内容です。

デザイン系ソフトでトップシェアを持つアドビ株式会社とも包括協定を締結しました。プレゼン資料としてアイデアを具現化する方法やディスカッションでの表現方法など、人に伝わる形のアウトプットを行う力を養うための講義やワークショップを実施。ソフトの扱いなど表面的なことではなく、理論、クリエイティブシンキング、ロジカルシンキングのような根本的な内容を学びます。昨年度にOICで開催された講座には他キャンパスからの参加も多く、全16学部中13学部からの受講があるなど、学生の関心は非常に高いです。今後はOIC以外のキャンパスでも同様のワークショップを開催していく予定です。

また、アドビにはハリウッドで映画や動画の編集を行う部署があるので、映画業界の考え方や技術的な内容の伝え方を学ぶ英語のワークショップも開講しています。本学園には学生の半分が留学生のAPU(立命館アジア太平洋大学)や、授業をすべて英語で実施するグローバル教養学部もあるので、英語で学ぶ学生も参加できるような講座の提供にも力を入れています。

―最後に、高校生に向けてメッセージをお願いします。

まずは立命館のキャンパスに足を運び、トライすることの楽しみや達成感を味わってみてください。大学で行われていることを実際に見て、学生から社会人までの幅広い人々と交わってみることで、自分の興味や、やりたいことが見えてくるかもしれません。私たちは中高の生徒や先生のことも、社会共創を担うメンバーの一員だと思っています。打ち込んでみたいことを一緒に探し、トライしてみませんか。社会共創推進本部まで気軽にコンタクトしていただけると嬉しいです。

大学にはさまざまな学生が入学してきます。能力や得意とすることはそれぞれ異なりますが、さまざまな人と交わりながら学ぶことは、誰にとっても自分の力を客観的に振り返るための良い機会となります。自分の今の立ち位置を認識して、これからどうするかを考えることを繰り返しながら学んでいけば、社会で独り立ちするためのマインドは養われていきます。立命館は一人ひとりの学生に向けて、そうした気づきを与えられるような教育をこれからも行ってまいります。

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