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昭和女子大学は、1988年にアメリカ・ボストンに日本の大学初となる海外キャンパス「昭和ボストン」を開設。以来、長きにわたってグローバル人材を育成・輩出してきた。近年は昭和女子大学と海外提携大学の2大学で学位を取得できる「ダブル・ディグリー・プログラム(DDP)」の拡充が進み、修了生を60名以上輩出している。こうした同大の取り組みについて、坂東眞理子理事長・総長に伺った。
聞き手 井沢 秀(大学通信)
理念を“仕組み”へと具現化する改革力
昭和女子大学 理事長・総長
坂東眞理子
東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。内閣広報室参事官、総理府男女共同参画室長、埼玉県副知事などを経て、1998年にオーストラリア・ブリスベンで女性初の総領事に就任。その後、内閣府初代男女共同参画局長を務めたのち、2003年に昭和女子大学へ着任。昭和女子大学女性文化研究所長や副学長などを経て2007年に学長に就任し、以後2014年に理事長、2016年からは総長を兼務する。ベストセラーとなった『女性の品格』(PHP新書)の著者としても知られる。
―昭和女子大学がグローバル教育を重視する理由からお聞かせください。
語学力を含む対人コミュニケーション能力など、本来女性が力を発揮できる分野はたくさんあると考えています。しかし、20世紀までは女性が活躍できる場が十分あるとは言えず、21世紀になってようやく女性にも開かれた社会になりつつあります。とはいえ、既存のビジネス環境に女性が飛び込んでも、まだ困難や障害があります。なぜかというと、国内市場ではすでに男性中心のビジネススタイルが確立されてしまっているからです。
一方、新しい分野に目を向けると、グローバル分野など、男女を問わず人材が不足している領域は多くあります。また、ITや会計などで語学を駆使して、女性自ら主体的にビジネスのブルーオーシャンを創造していくべきだと考えています。そのための資質を養うのが国際学部やグローバルビジネス学部です。否応なしにグローバル化が進む中で、重要な役割を果たせる人を育てたいのです。
ただし、もちろん理念だけでは何も達成されません。グローバル人材を育てるには、理念を仕組みに落とし込んで機能させる教育力が不可欠です。本学であれば、1988年にアメリカ・ボストンに海外キャンパス「昭和ボストン」を開設し、現在に至るまで学生のニーズやレベルに応じた留学プログラムを展開してきました。ボストンはMIT(マサチューセッツ工科大学)があり、西のシリコンバレーと並ぶベンチャー企業のメッカです。最先端の研究と教育が進められる“ホットスポット”でもあります。本学では今後、現地でのインターンシッププログラムを拡充していく方針です。学生はボストンにキャンパスを構えるメリットをさらに享受できるようになるでしょう。
―DDPでは成果をあげられていますね。
中国の上海交通大学や韓国のソウル女子大学校、淑明女子大学校、オーストラリアのクイーンズランド大学、アメリカのテンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)とDDPを推進し、これまで60名以上の修了生を輩出しています。学生は本学での3年間と提携大学での2年間の計5年間で、双方の大学の卒業資格を取得できます。2022年5月には、TUJとのDDPに挑戦した1期生4名がTUJを無事に卒業しました。
TUJは本学の敷地内にあり、コロナ禍で渡航制限が生じる中、日本にいながらアメリカの大学で学び、学位を取得できるメリットがあります。TUJでの授業はすべて英語で行われるため、IELTS6.0以上の英語力やGPA2.7以上といった高い基準を満たすことが履修条件になりますが、原則として本学の5年間分の授業料で両大学の学位を取得することができます。円安で日本よりも高額な海外大学の授業料に一喜一憂する必要はありません。また、昭和ボストンに6カ月間の留学をする場合でも、自前のキャンパスだからこそ手数料がかからず、費用を抑えることができます。
仕組みを活用して学生を伸ばす教育力
―DDPで2つの学位を取得する意義をお聞かせください。
一般的な海外留学は「英語を」勉強するという意味合いが強いですが、DDPでは「英語で」専門分野を勉強し、語学力をツールとして使いこなす力を高めます。また、海外の大学では「学生の責任」が重視され、勉強しない学生を安易に卒業させないからこそ高い教育水準を維持し、厳しい環境でも主体的に勉強する姿勢が養われます。
とはいえ、本学としては最大限のサポートを行います。海外経験がなくても、入学時に中国語の履修経験がなくても、晴れてDDPを修了する学生は少なくありません。途中で挫折しかける学生もいますが、そこで発揮されるのが本学の教育力です。教員の指導力と熱意ある応援が、「やればできる」という実感と自信を育むのです。
IELTS6.0にしても、容易に到達できるレベルではありませんが、その条件自体が学生の意欲を掻き立て、教員のサポートと相まって、クリアできる実力をもつ学生が増えています。また、目標を達成した先輩の存在が励みとなり、後輩の挑戦意欲を高める好循環も生まれています。
―学生全員がグローバルな資質を高められるのでしょうか。
2022年度から、留学がカリキュラムに含まれない学科の学生が、グローバル社会で求められる語学力や知識、マインド、スキルを身につける「S-GLAP(Showa Global Liberal Arts Program)」という全学対象のプログラムを導入しました。
また同じく22年度から、「データサイエンス副専攻プログラム」を全学で展開しています。本学はいわゆる私立文系の女子大学なので、数学が得意ではない学生が多いのですが、今後のグローバル社会でもデータサイエンススキルが不可欠です。学科を問わずデータを扱う機会は少なくありませんし、卒業後にビジネスを進めていく上でも必要になるマーケティングの基礎を身につけることができます。
―こうした取り組みが就職にもつながるのですね。
2021年度卒業生の実就職率は、前年比1.6ポイント増の94.5%となり、「2022年実就職率ランキング」で12年連続1位を達成しました(※)。学生の努力に加えて、背景には教職員や社会人メンターの丁寧な指導もあると思います。社会人メンターとは、多彩なキャリア経験をもつ女性が、就職活動対策や卒業後のキャリアプラン、ライフスタイルについて相談に乗り、アドバイスを送る存在です。現在は20代から70代までの社会人女性約370人が登録し、ロールモデルとして学生をサポートしてくれています。
※大学通信調べ。卒業生1,000人以上の女子大学。実就職率(%)は、就職者数÷〔卒業生(修了者)数−大学院進学者数〕×100で算出。
「女性だから」とあきらめてはいけない
―最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
かつての日本には、せっかく実力がある女性でも、「どうせ女性だから」とあきらめてしまう空気がありました。本学ではこうした考えを断ち、「この程度でいいや」と自分の限界を決めるのではなく、「やればできる」「もう少し頑張ってみよう」と将来を前向きに考えていける女性を育てたいのです。
受験生だけでなく、どの世代でも自分に自信を持てない女性が少なくない中で、自分の強みを見つけ、自信を育てていける場が女子大学だと思います。そこに女子大学の存在意義とミッションがあり、本学はグローバル教育を軸に学生の成長を支えていきますので、ぜひ大きな目標を持って、有意義な大学生活を送ってほしいですね。