社会を生き抜く力を身に付けるための4年間を-夢の種プロジェクト-流通科学大学

社会を生き抜く力を身に付けるための4年間を-夢の種プロジェクト-流通科学大学

あらゆる年代の教育が、「生きる力」を養うことに重きを置こうとしている現代。大学でも卒業後を見据え、早期からのキャリア教育や社会と連携した学びなどが積極的に展開されている。そのなかでも特色あるプログラムとして注目を集めているのが、流通科学大学が取り組む「夢の種プロジェクト」だ。同プロジェクトの導入をけん引し、2020年4月に学長に就任した藤井啓吾学長に話をうかがった。

―「夢の種プロジェクト」の概要と導入の狙いを教えてください。

プロジェクトがスタートしたのは2015年4月です。パートは1年次の「探す」、2年次以降の「育てる」、就職や資格取得、さらには卒業後の人生も含めた「咲かせる」の3つのパートからなるプロジェクトです。

導入の背景には、学生の多くが、漫然と大学時代を過ごしてしまい、社会で必要とされる力を身に付けないまま卒業していくことへの危機感がありました。勉強にしろ課外活動にしろ、目標を持って4年間を過ごし、何らかの成果を得たうえで卒業していってほしいと考えたことから生まれたのが本プロジェクトです。具体的には、大学生活の早い段階で夢や目標を設定します。そして、「それを実現するためにはどんな大学時代を過ごせばいい?」と考えることで、履修する科目や取り組むべき活動を明確にしていきます。

―最初のパートである「探す」について教えてください。

「なりたい自分発見カリキュラム」という名称で1年次のカリキュラムに組み込まれており、前期は週4コマ、後期は週1コマの学部横断的に編成された少人数クラスでの授業を中心に運営しています。内容は、多様な価値観や社会を構成するさまざまな仕事に触れることに軸足を置いています。例えば、入学後の1泊2日のキャンプで同級生と交流を深めながらお互いの考えに触れます。フィールド演習では、身近な街でのフィールドワークを通して自らテーマを見つけ学ぶ力を養います。先輩や卒業生、社会の現場で活躍されている方々を招き、交流の機会を設けることで、自分の将来をイメージしながら学ぶことができます。入学式もユニークで、新入生が全員舞台に上がり、一人ずつ自己紹介を行います。コロナ禍で入学式がオンライン開催になった今年も、この伝統は守りました。これらの取り組みを通して「将来の自分」「なりたい自分」をイメージするのが「探す」というパートです。

―2つめの「育てる」のパートについて教えてください。

目標の実現に向けて知識を深め、経験を積んでいくのが「育てる」のパートです。学びのスタイルとしては、ゼミなどを中心として少人数制で行い、学生同士や教員との対話を重視したアクティブラーニング型の授業を数多く取り入れています。

本学が特に重視しているのは、学生が「社会との接点を持ちながら体験を重ねる」という点です。その一例が、本学の伝統でもあり、多くのゼミやクラスが取り組む「社会共創プログラム」。最近も、旅行会社と連携して取り組んだ海外旅行の提案が業界団体主催のコンテストで準グランプリを受賞したり、神戸の海をテーマにしたビジネスのアイデアが優秀賞を獲得するなど、高い評価を受けています。

国際教育も「育てる」のパートにおいて重要な役割を担っています。本学では海外からの留学生がたくさん学んでいます。そこで本学では、学生寮や学内の交流スペース(ワールドホール)など、留学生と日本人学生が日常的に交流できる場所や機会を提供しています。交流を通して、異文化や多様性を肌感覚で理解し、グローバルな考え方・ものの見方を養ってもらいたいと考えています。すでに、学園祭での各国の食文化を通じた交流、学生寮での国際交流イベントなど、活動が活発化しています。日常のなかで海外を身近に感じ取り、グローバル感覚を身に付けることができるのは本学ならではだと言えます。

―3つめの「咲かせる」のパートについて教えてください。

1年次からの取り組みを「咲かせる」という点では、やはり就職は大きなポイントです。個別の面談や面接対策など学生一人ひとりに応じたサポートを行っているのですが、特に注力しているのが、「学生時代の活動をどのように就職に落とし込むのか」という点です。目標の実現に向けて過ごした4年間を卒業後の仕事や人生と結びつけ、さらに発展させられるようなアドバイスや支援を心がけています。

ゼミを担当する教員による就職支援も、従来以上に力を入れています。先生方は学生にとって、いわば社会人の先輩であり、人生の先輩です。しかも本学の先生は企業での勤務経験を持つ人が多く、社会のリアルな姿を知っています。そういった視点から学生にアドバイスしてもらおうという動きを加速しました。

―夢の種プロジェクトを導入する前後で、どのような変化を感じておられますか?

先日、企業経営者を講師に招いた授業がありました。ひとしきり講義が終わったあとに学生から質問を受け付けたところ、質問が殺到したのです。プロジェクトを始めた頃はこんなことはなく、「誰か質問しないのか?」とハラハラしていたぐらいです。年代も社会経験も異なる人と対話することへのためらいがなくなり、積極性が根付いたと言えるでしょう。

「将来を考えることが大切だ」という意識が定着したようにも思います。「先生、私は将来、こんなことがしたいです」と目を輝かせて語ってくれる学生が増えたことは、非常に嬉しく感じています。

―コロナ禍での授業の取り組みについて教えてください。

前期は全面的にオンラインで授業を行いました。後期は、7割近くを対面形式で行っています。対面で行うのは、ゼミなどの比較的少人数かつ対面である必要性が高い授業です。それに加えて、講義形式の授業も、教室内の座席を制限するなどして密にならない工夫を行うことで、可能な限り対面で行っています。その他の授業はオンラインですが、対面とオンラインが併用されるようになると、オンライン授業の視聴時間と通学などの移動時間との兼ね合いが問題になります。そこで後期のオンライン授業はすべてオンデマンド型とし、時間や場所を気にせず受講できるようにしました。

―最後に、藤井学長の今後のビジョンを教えてください。

「咲かせる」のパートは、本質的には就職がゴールではありません。卒業して10年、20年が経ったとき、自分なりの大輪の花を咲かせていることが大切です。そのことを肝に銘じながら、夢の種プロジェクトを深堀りし、進化させていくことが今後の基本方針です。

私たちは学生の長い人生を見つめ、社会を生き抜く力を身に付けてもらいたいと考えています。そして、それができる大学が本学であると自負しています。みなさんからの期待に違わぬよう、「“ホンモノ”の力を付けるためにはどうすればいいか?」をこれからも考え続け、さまざまな施策に落とし込んでいきたいと思います。

夢の種プロジェクト

大学の4年間を「なりたい自分を実現するための4年間」と位置づけ、将来の夢を「探して、育てて、咲かせる」ことを目的とした取り組み。第1段階である「探す」パートには、「なりたい自分発見カリキュラム」を配置。多様な体験を通して、学生が自身の興味・関心や得意なことを見つける後押しをしている。2段階目のパートとなる「育てる」では、学部での学びに加えて、地域社会や企業と連携して取り組む「社会共創プログラム」、クラブ活動、海外留学など、学内外でのさまざまなチャレンジを後押し。体験を通じて将来への考えを深めながら、知識やスキルを身につける機会が設けられている。さらに就職やその後の人生を見据えた「咲かせる」のパートでは、就職支援や資格取得などのきめ細かなサポートが行われている。プロジェクトは2015年度から始まり、すでに2回にわたって卒業生を社会に送り出している。開始から6年目を迎えた現在、学生の間では「目標を持って大学生活を送る」「物怖じせずにチャレンジする」という精神が着実に広まっている。

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