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1972年に東北歯科大学としてスタートした奥羽大学。現在は歯学部と薬学部の2学部制となっている。福島県郡山市のキャンパスで、人間性豊かな歯科医師と薬剤師を数多く輩出してきた。ここではその教育の特徴とともに、奥羽大学が地域社会に貢献できる医療人育成のために取り組んでいる、充実した特待生制度についても紹介したい。
奥羽大学のキャンパスは、東北有数の経済都市、福島県郡山市の中心市街地にある。緑あふれる広大なキャンパスの中に、充実した施設と先進機器を備え、優れた教授陣が揃っている。建学の精神は「人間性豊かな人材の育成」で、高度な専門知識と技術の習得はもちろん、患者の気持ちを理解し、良好な人間関係を築くことができる歯科医師と薬剤師の育成に取り組んできた。これまで歯学部4235人、薬学部955人の卒業生を輩出してきた実績を誇る(*1)。
少人数教育と充実した環境で優れた医療人を育成
歯学部の特徴は、少人数のグループごとに教員を配置したきめ細かな指導体制だ。学年主任とクラス担任が毎朝の朝礼で学生一人ひとりと接し、2週間ごとに面談も実施するなど、学業面と生活面を丁寧にサポートしている。また、臨床教育を重視し、1年次より早期体験実習を実施。5年次の臨床実習では、45週間かけて附属病院の全ての診療科をローテーションし、医療チームの一員として見学、介助、自験を行う。歯科医師の指導下で臨床に求められる知識・技術・態度を習得する。新しいプログラムとしては、15年からスタートした「エレクティブスタディ」がある。これは学生が自ら関心のある分野や科目を選択し追及するもので、主体的に学ぶ自己研鑽能力や問題解決能力を養うねらいがある。
薬学部では、将来薬剤師として患者や医師、看護師など人と接する仕事に就くことを念頭に、知識、技術はもちろん、コミュニケーション能力と人を思いやれる心の涵養を重視。各学年で学生3~4人に対し教員1人をアドバイザーとして配置し、基礎科学、専門科学に加えて人間性まで丁寧に指導する体制だ。特徴的な科目としては、カウンセラーの資格を有する教員がケーススタディを紹介し、模擬患者を相手にうなずき、相槌、沈黙などがもたらす影響を確認することで、コミュニケーションの機能と可能性を学ぶ「医療コミュニケーション論」がある。
特待生制度で最大6年間の授業料が無料に
さて、私立大学で医療人をめざす場合、特に気になるのは学費ではないだろうか。奥羽大学に6年間通った場合の学費の合計は、入学金と授業料を合わせて歯学部の場合2150万円(私立歯科大学平均は約2654万円)、薬学部の場合は920万円(私立薬科大学平均は約1197万円)となる。どちらの学部も他の私立大学より比較的安価な学費設定だ。
奥羽大学は、進学意欲を持ちながら経済的に不安を抱える受験生が諦めずに地域社会に貢献できる医療人をめざせるよう、この学費負担を大きく軽減する「自力進学支援型特待生入試制度」を整備している。特待生選抜入試に合格すれば、歯学部では年間350万円、薬学部では年間150万円の授業料が全額免除されるというものだ。それぞれの学部に30人ずつ枠が設けられており、20年入試では特待生選抜入試受験者のうち歯学部では約3人に1人が、薬学部では約4人に1人が特待生として入学した。決して狭き門というわけではなく、高校での英語・数学・理科をしっかり学んだ受験生であれば十分に合格をめざせるものとなっている。特待生の資格は進級試験の成績により毎年審査を行い、最大で6年間継続することができる。19年までの入学生も進学の際に特待生を継続している。
超高齢社会を背景に歯科医師・薬剤師の活躍の場が拡大
歯学部、薬学部ともに卒業後の活躍のフィールドは多岐に渡る。かつては虫歯の治療が主な生業であった歯科医師は、近年では一般歯科、予防歯科、矯正、インプラント、審美、ホワイトニング、小児歯科など歯の治療はもちろん、口腔がんなどの口腔内や舌、顎の病気の治療やサポートを行う口腔の専門家として、人々の健康や生活を守っている。
薬学部の卒業後に想定される進路は、薬剤師として病院やクリニック、薬局、ドラッグストアでの調剤・販売業務などの他、製薬会社でのMR(*2)、品質管理、保健所など行政機関での医薬品・動物・食品などの管理、CRO(*3)・SMO(*4)での治験の支援業務などがある。また、4年制薬学部で研究を続けてきた学生がライバルになるが、6年制薬学部卒業者でも大学院(博士課程4年)へ進み、研究者として活躍する道もある。
歯科医師、薬剤師ともに、4人に1人が高齢者である超高齢社会の我が国においては、今後ますます重宝される、やりがいのある職業となるだろう。このような職業を本気で志す受験生であれば、経済的な不安を理由に諦めてしまうのは勿体ない。奥羽大学の特待生制度を有効に活用し、自らの学力と努力で未来を切り拓いてほしい。
*1 2020年3月31日現在
*2 MR=Medical Representatives:医薬情報担当者
*3 CRO=Contract Research Organization:医薬品開発業務受託機関
*4 SMO=Site Management Organization:治験施設機関