入試によって学科の多様性を高め、定評ある教員養成力に磨きをかける

入試によって学科の多様性を高め、定評ある教員養成力に磨きをかける

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学習院大学 文学部教育学科 長沼豊教授

学習院大学は、18年度入試で半世紀ぶりの入試改革を行った。これにより、大半の学部(学科)の受験機会が従来の1回から2回に拡大した。文学部は教育学科と心理学科が新入試制度を採用した。教育学科の入試機会拡大の目的と同学科の特徴について、長沼豊教授に話を聞いた。

取材・文 井沢 秀(大学通信)

入試改革で多様性を高める

── 18年入試から新たな入試方式を導入した経緯とその特徴を教えてください。

これまでの入試日程をコア試験とし、新たに別日程のプラス試験を導入しました。これにより大半の学部(学科)が2回受験できるようになりました。学習院大学に入学希望の受験生に対し、複数の受験機会を設けることが狙いです。文学部では教育学科と心理学科が導入しました。

── 教育学科では新方式をどのように活用するのですか。

一般入試と指定校推薦、内部進学の他、生徒会でのリーダーシップなど、特徴のある受験生を募集する公募制推薦があります。教員はいろいろなタイプがいるべきだからです。同様の観点から、プラス試験では、主に数学や理科が得意な理系の生徒をターゲットにしています。

そのため、コア試験が私立文系型の入試科目なのに対し、プラス試験では英語と数学、理科の理系型で選抜します。教員になりたい受験生は、5教科を勉強してきた国立大志望者が多いので、プラス試験では、そうした層に出願してほしいのです。

従来の一般入試の文系型、個性的な公募制推薦、特定の高校を対象とした指定校推薦、学習院の男女高等科出身者に理系型が加わり、多様な学生が切磋琢磨することで、多様な教員を養成することが理想です。

── どのような受験生に活用してほしいですか。

数学や理科が得意な科学的思考力を持った受験生を待っています。仮説を立てて事象を把握し、分析・考察する力を持った学生は、文系出身者の刺激になります。教育学科では、英語やピアノなどを学生同士が教えあう文化がありますので、理科や数学に関してもそうなることを期待しています。国立大が第一志望であっても構いません。教員になろうという志の高い受験生なら誰でも歓迎します。

子どもの理数力が落ち、高まる理系人材への期待

── どうして理数系が得意な教員が求められるのでしょうか。

子どもたちの理科や算数への関心が薄れているため、今の教育現場は理科の実験などがしっかりやれる理数系人材を求めているのです。学習指導要領が変わり、これからは考えさせる授業を行わなければなりません。特に算数や理科については、先生の思考力が乏しければ教えられないのでニーズがあるのです。教育現場で大きな力になると思います。

── 小学校でも専門性の高い教員が求められているのですか。

小学校教員はすべての教科を教えますが、教科別の研究会があり、赴任先の学校でいずれかに属さなければなりません。その時に得意な教科があれば、希望する教科の研究会に入ることができます。教育学科では専門性の強化に力を入れており、17年度入学者から始まった新カリキュラムでは、得意な科目をつくるために、4年次に1教科を深掘りするゼミを設けます。

18年からの新たな取り組みはもう一つありました。これまで第二外国語は中国語と朝鮮語からの選択でしたが、グローバル化が進み小学生の国籍が多様化していることもあり、ドイツ語やフランス語など、自由に言語を選べるようになりました。

── カリキュラム全体の特徴について教えてください。

教員免許取得のために、「指導法」は全教科を学ぶ必要がありますが、教科の内容を教えるための「概説」は全教科必修ではありません。しかし学習院大学では、小学校で教える全10教科の概説を学びます。この中には、これから教員免許取得の際に必修になる、英語や特別支援教育もあります。免許法が変わって他大学がこれからつくるカリキュラムを、未来を見据えてすでに実施しているのです。

知識・技能とともに、感性の豊かさが求められる

── 知識・技能以外の能力を養成するためのカリキュラムも充実しているそうですね。

教員になる上で知識や技能とともに求められるのが感性です。子どもや保護者、同僚と良い関係を構築するためには感性をベースとしたコミュニケーション能力が不可欠ですが、感性を養うのはとても難しいことです。そこで学習院大学では、表現活動や行事の運営などを通して、4年間かけて育みます。

── 感性を養うための具体的な取り組みを教えてください。

学生全員にフィールド体験型授業の「自然体験実習」とインターンシップ型の「社会体験実習」を課しています。体験型の学びの一つに、特別活動の指導法を学ぶ「模擬遠足」があります。小学生の遠足で起こるアクシデントなど様々な状況をシミュレーションして行うことで、子どもとの接し方を学びます。

教育学科の2大行事である「スポーツ大会」と、音楽や演劇など文化的な催しの「フェスティバル」は、小学校の運動会や学芸会に生かせるため、学生は真面目に取り組んでいます。2大行事を通して、教育に不可欠な子どもの視点を知るとともに、豊かな表現力を育むことができるのです。

少人数教育も感性を養成する大きな役割を担っています。教育学科は同じ学年担任の教員が4年間持ち上がりで担当します。定員が50人と少ないこともあり、横のつながりがとても強いのです。さらに1学年を8つのホームに分け、異学年の同じホームの学生と交流するという縦のつながりも機能しています。こうした学生間や教員と学生の距離感の近さが、コミュニケーショ能力を養成するのです。

── 最後に受験生にメッセージをお願いします。

通常のカリキュラムに加え、自然体験や模擬遠足、2大行事、ホーム制など、他大学にはない独自の取り組みをしています。これらは全て教員になるために逆算してつくられたものなので、取り組みの中身を見てください。

その方向性の正しさは、卒業生の内、教員希望者のほぼ全員が教員採用試験に合格したことが示しています。教員になるための支援体制は万全です。ぜひ、知的好奇心が旺盛な受験生に集まってほしいと思います。

 

教育学科卒業生の進路(第三期生)

平成30年度より理系科目の得意な受験生に入試機会が拡大しました。従来のコアとなる一般入試の試験日(コア試験日)に加えて、本学理学部の試験日(コア試験日)にも受験できるプラスとなる試験日(プラス試験日)を設けています。(試験科目: 英語・数学・理科)

文学部(教育学科・心理学科) プラス試験+ 理学部 コア試験
文学部のプラス試験は、理学部のコア試験と同日に、理学部のコア試験と共通の試験問題により実施します。
※詳細は必ず、学習院大学ホームページでご確認ください。

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