郊外から都心へ!大学のキャンパス移転事情


東京理科大、杏林大、大妻女子大…大学のキャンパス移転が相次ぎ、今春も郊外から都心部へ多くの大学が移った。来春も移転を予定している大学が複数あり、この傾向はしばらく続きそうだ。多くの受験生が影響を受けそうな、大学の都心回帰についての最新事情をお届けしよう。


少子化が進行する中で、多くの大学が志願者を獲得するための改革を実施している。大学の都心回帰はその最たるものだろう。その背景には、1960年前後に首都圏と近畿圏で工場等制限法が成立し、都市部での大規模な工場と大学の新設・増設が規制されたため、大学の郊外移転が進んだことがある。同法が2002年に廃止されたことに加え、18年より18歳人口が減少局面に入る「2018年問題」が喫緊の課題となったこともあり、これまでとは逆にキャンパスを郊外から利便性の良い都心に移転する大学が相次いでいるのだ。

【都心回帰で志願者が大幅に増加した大学】

早い時期から積極的に都心回帰を行ったのは東洋大だ。1~2年次は朝霞キャンパス(埼玉県朝霞市)で学んでいた文系5学部(文、社会、法、経済、経営)について、05年より白山キャンパス(東京都文京区)に移し4年間一貫教育を開始した。その結果、大学全体で5000人近く志願者を伸ばすことに成功した。さらに、09年には国際地域を板倉キャンパス(群馬県邑楽郡板倉町)から白山第2キャンパスに移転。このときは国際地域の志願者が倍増し、大学全体では1万人近い志願者増につながった。
都心回帰で志願者が増えた大学としては、共立女子大も象徴的な例だ。全学部の1~2年次を八王子キャンパス(東京都八王子市)に置いていたが、06年度に神田一ツ橋キャンパス(東京都千代田区)に全面移転。志願者数は当時減少傾向にあったが、移転後は2327人から3365人と1000人以上増加。さらに翌年以降も大きな反動はなく、志願者を増やしている。大学の都心回帰の傾向は今でも続いている。
16年は東京理科大、杏林大、大妻女子大などが移転を行った。その志願者数の変化は表1のとおりだ。やはり志願者が増えている。17年にキャンパス移転を行う主な大学は表2にまとめたが、移転に伴う志願者数の変動は受験生に直接影響があるので注意してほしい。

【大学が都心回帰する様々なメリット】

大学が都心回帰するメリットとして、最も分かりやすいのは通学の利便性の向上だろう。二松学舎大は1・2年次が柏キャンパス(千葉県柏市)、3・4年次が九段キャンパス(東京都千代田区)となっていたが、10年より順次九段キャンパスに移転させた。最寄り駅からスクールバスを使う必要があった柏キャンパスからの移転により、通学の利便性は大きく向上した。また、九段キャンパスで学ぶ学生数が増えたことにより新校舎を2棟建設するなど、移転に併せて教育研究環境の充実を図っている。
交通面以外にも、キャンパスの移転には様々なメリットがある。青山学院大の文系7学部(文、教育人間科、経済、法、経営、国際政治経済、総合文化政策)は低学年次が相模原キャンパス(神奈川県相模原市)、高学年次は青山キャンパス(東京都渋谷区)で学んでいたが、13年より青山キャンパスで4年間一貫教育を開始した。これにより、「年次に関わらず専門科目や教養科目を自由に履修しやすくなる」、「学部生のうちから大学院レベルの教育機会を得やすくなる」、「学年の垣根を超えた交流がしやすくなる」など、様々なメリットが生まれた。東京理科大は16年より、経営を久喜キャンパス(埼玉県久喜市)から本部のある神楽坂キャンパス(東京都新宿区)に移転し、併せてビジネスエコノミクス学科を新設した。移転のねらいは、都心で実際の企業現場に接しながら経営を学ぶことだ。さらに、ビジネス街が至近の距離にあることで就職活動がしやすくなることや、同一キャンパスで学ぶ理や工との連携活性化などが期待されている。

21年には日本女子大が人間社会及び大学院人間社会研究科を西生田キャンパス(神奈川県川崎市)から目白キャンパス(東京都文京区)に移転。4学部5研究科を1つのキャンパスに集約することで総合力を発揮するねらいがある。中央大は22年までに法を多摩キャンパス(東京都八王子市)から後楽園キャンパス(東京都文京区)に移す計画を発表。法科大学院と一体化することで教育効果の最大化をめざすとしている。法曹界で働くOB、OGとの交流も活発になり、司法試験合格率などにも良い効果をもたらすかもしれない。有名大学を中心に、大学の都心回帰の流れは今後もしばらく続きそうだ。志願者数や自宅からの通学時間の変化は受験生が気になるところだろう。キャンパス環境の変化は教育内容にも大きな影響を与える。大学の移転情報に目を配りながら進路指導に当たってほしい。

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