【獣医学部を目指す人へ!】人の健康や生活の安心に広く貢献する獣医学


獣医学部では獣医学関連の知識や技術を学び、獣医師の育成を責務とする。
動物の疾病や治療法は人間の疾病と共通するものが多数あり、医学との関連性も深い学問領域だ。獣医師の仕事は「動物のお医者さん」だけでなく、食の安全や公衆衛生にも広がっている。


【獣医学は人間の健康や生活環境にも寄与】

獣医学部では、動物の医療や公衆衛生に必須な獣医学と獣医療に関連の知識や技術を学ぶ。獣医学の範囲は、動物の疾病の治療・予防にとどまらず、生命科学全般と深く関わっており、野生動物の保護、伴侶動物の健康と福祉の向上、安全な動物性食品の確保などを通じて、人間の健康、心の豊かさ、生活環境の保持に寄与する学問分野だ。獣医学が医療系として紹介されるのは、獣医学と医学で近接・共通する部分が多く、広く人の健康や公衆衛生分野でも重要な役割を担うことによる。
獣医学を学ぶにあたって、動物が好きであることは言うまでもないが、生物・化学を基礎とする領域が多いので、これらを苦手としないことも重要だ。

入学後は、獣医師としての知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力や観察力も磨いていく必要がある。また小動物の獣医を希望する場合であっても、実習などの授業では大型の家畜を扱う機会が多い点は留意しておきたい。獣医学部は定員が少なく難易度も高い獣医学部(獣医師養成課程)を持つ大学は国立10、公立1、私立5の計16大学と少なく、定員も限られている。一方で近年のペットブームなどの影響で志願者数はハイレベルで推移しており、いずれの大学もかなりの難関となっている。近年は獣医学に近接する生命科学、動物看護学、動物科学などを扱う4年制の課程を設けている大学もあり、進路目的にあった課程を選択できるようになっている。4年制課程は、獣医師養成課程に比べ、倍率や難易度が低い傾向がある。

【獣医学部のカリキュラム】

獣医学部では2013年入学者から、全大学で獣医学教育モデル・コア・カリキュラムが導入されている。これは獣医学教育で学生が身につけるべき知識や技能のガイドラインを示したもので、科学技術の進歩や社会的ニーズだけでなく、公共獣医事を担う国際的人材育成教育なども配慮されている。コア・カリキュラムで従来の獣医学教育の内容自体が大きく変わるわけではないが、大学で学ぶべき教育の共通化が図られ、どの大学でも一定の知識、スキルが得られることが目的の一つだ。

コア・カリキュラムは基礎獣医学、病態獣医学、応用獣医学、臨床獣医学の分野で、それぞれ必須となる講義科目、実習科目(総合参加型臨床実習を含む)が指定されている。コア・カリキュラムのウエイトは全体の3分の2程度だが、各科目の単位数は大学の裁量に任せられるなど、医歯薬とは運用法が異なる。そのため感染症予防の分野に強い、産業動物が得意といった大学の独自性のある講義も比較的柔軟に展開できるのが特徴といえる。ただし、本格的な臨床実習を前に基礎的な知識や能力を問う「共用試験」を実施し、獣医学教育の質を確保するのは、医歯薬と同様だ。

【公務員や産業動物の獣医師が不足】

獣医学部で学ぶ者は、6年の課程を修了すると獣医師国家試験の受験資格が得られる。獣医師国家試験合格者は毎年1000人程度、合格率は80〜90%で推移しており、きちんと大学での課程を履修し、内容が理解できていれば、決して困難な関門ではない。獣医師といっても、その進路はさまざまだ。農林水産省発表の「平成26年獣医師の届出状況(獣医師数)」による
と、2014年12月31日現在の獣医師総数は3万9098人で、国や地方自治体の公務員が9526人、民間団体で獣医事に関与する者が7623人に対し、個人診療施設などに勤務する者が1万7241人と多数を占める。獣医師でありながら獣医事に従事しない者も4550人いた。近年の獣医師の動向では、約半数が小動物の診療分野へ就業する一方、産業動物診療分野への就業者は1割に満たないという状況で、産業動物診療獣医師や地方公共団体などの公務員となる獣医師職員が不足している状態が続いている。

【獣医師の仕事内容は多岐にわたる】

獣医師の仕事は、動物の健康や病気の診療をする獣医療をはじめ、畜産・酪農、食品衛生、公衆衛生、医薬品の開発・研究などのバイオメディカル、自然保全や野生動物の保護・管理などにも広がっている。動物愛護やアニマルセラピーなども守備範囲だ。このほか動物園や水族館に勤務して動物の飼育管理を行う獣医師も多い。
分野別で見ると、産業動物関連分野では、牛・豚・鶏などの家畜の疾病治療・健康管理・防疫、乳製品・肉・卵などの安全管理、さらに競走馬などの飼育や動物による娯楽の提供なども行う。
犬・猫などの小動物関連分野では、小動物の疾病治療や健康管理を行う。高齢化社会や核家族化のなかで欠かせない伴侶動物が増えており、その対象は、犬猫、鳥類、爬虫類、魚類に及び、診療科目も内科、外科、眼科、歯科など幅広い。
公衆衛生関連分野では、牛乳や魚介類などの食品の衛生管理、製造から販売店に至る流通過程の監視・検査・指導を担当する食品衛生監視員や、水質など生活環境の衛生の監視・指導を行う環境衛生監視員として保健所で活動する獣医師が代表例だ。また狂犬病など人畜共通感染症の予防・調査・研究は、近年の高病原性鳥インフルエンザ、牛海綿状脳症(BSE)、口蹄疫の国内発生などで注目度も高い。そして近年、日本でも重要視されているのが、野生鳥獣関連分野だ。野生鳥獣の事故、食中毒、生息環境の汚染などの問題に対し、獣医師は治療・救護活動などで中心的な役割を果たしている。

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