【大正大学】東京初の〝地域創生学部〟の学びの中心はフィールドワーク

【大正大学】東京初の〝地域創生学部〟の学びの中心はフィールドワーク

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既に50以上の地方自治体や団体と連携し、8週間、地方に住んで実習を行う。地域理解を深め、理論と行動の統合によって地域活性化のリーダーを育成していく。どのような教育内容なのか探った。


日本のグローバル化が進む一方で、大きな問題になってきているのが地方の再生だ。少子高齢化や人口減少、都市部への人口集中などによって、地方の衰退が目立つようになり、この再生が国家的な問題になってきている。国も地方創生大臣を置き、ようやく力を入れ始めたところだ。そうなってくると、地方創生を担う人材育成が急務になってくる。そのため、大学が果たす役割は大きく、地方国立大を中心に、今年、数多くの地方創生の人材育成を行う学部が新設された。

その中で、唯一東京にある大学で、地域創生学部地域創生学科を設置したのが大正大学だ。政府の期待も大きい中で、昨年春、スタートした。首都圏初の地域創生学部の誕生大正大学は全国で21番目に設置された大学だ。今年で90周年を迎える。大乗仏教思想である「智慧と慈悲の実践」を建学の精神とし、有意な人材を社会に送り出してきた。その伝統ある大学に今年、新設されたのが地域創生学部だ。

ただ、東京にある大学で地方といってもピンと来ないかもしれない。地域創生学部設置の大きな目的は、さまざまな地域から学生を受け入れ、東京で学ばせ、地域に回帰させることにある。本当の意味での地方で活躍できる人材の育成だ。

地域創生学部の教育の大きな特徴は「知識」と「実践」の融合。今まで大正大学になかった社会科学系の学びを中心にしていることもユニークなところだ。主な学びは「経済・経営学の理解」「地域社会の理解」「地域文化・環境の理解」「地域における実践・実習」が大きな柱になっている。
中でも注目されるのは、「地域における実践・実習」だろう。クォーター制を採用しているが、第3クォーターで8週間の地域実習を行う。学生はすでに地域実習に出発している。8週間、地方に住み、地域の活性化について教員と共に学ぶことになる。大正大学地域創生学部の柏木正博学監がこう話す。

「受け入れていただける多くの地方に、今年から学生は実習に行っています。現在、50ぐらいの地方自治体と連携しています。宮崎県の延岡市、徳島県の阿南市、宮城県の南三陸町などで学生は実習しています。受け入れ先の地方自治体で、最初に首長を訪問するんです。普通は会えませんから、それだけで学生は刺激を受けます。実習先に山形県長井市がありますが、わずか2カ月弱の滞在ですが、非常勤職員を命ずるという辞令をもらって、学生は感激したようです」

地域とのつながりが深まれば、学生も自然と学びに力が入る。具体的に何を学ぶのか、柏木学監がこう説明する。

「地方自治体は地方創生戦略というものを作っており、それをどのように実行するのか、どういうビジョンなのか、それに教員と学生が参加させていただくということなんです。役所の隣接領域になりますから、観光協会とか商工会議所とかに、お世話になりながら町づくりのお手伝いをすることになります。学生は学んだことを踏まえ、実習の最後に地域の皆さんの前で、
プレゼンします。これもいい経験になると思っています」

歴史とか文化とか人物とかまだ広く知られてはいないが、地域資源になり得る素材を自分の目で発見していくということだ。その土地ならではの地域資源を発見し、観光にビジネスに生かしていこうという狙いだ。

【フィールドワークを中心に据えた学び】

日本のいたるところに、まだまだ知られていない名産や地域資源がたくさんある。今まで知られていなかったものを見つけ、どうプロモーションするかまでを考えていく。2年生の第3クォーターには、首都圏で実習を行う。その狙いについて、柏木学監は

「大学に戻ってきて、本当に自分たちが1年生の時にフィールドワークで見つけた資源、あるいは資源を結合するというようなことが、東京の人たちにも理解できるのか、あるいはマーケットが反応を示すかということを検証します。自分たちがプロモーションをして、3年生でまた1年生で行ったのと同じ所へ実習に行きます。もっと深掘りをしてもらうためです。そこで卒業研究を行い、そのまま1割でも2割でも、学生がそこに住んで、できれば役所に公務員として就職してもらうのが理想です」
という。
3年生が実習に出かける時には、1年生と一緒ということになる。異年齢との交流も大切なことだ。どのような学生に来てほしいかについて、柏木学監に聞いた。

「問題意識を持っている学生に来てほしいですね。このままでは人口減少でどうなるのだろう
か、あるいは都市と地方との格差や環境の違い、そういうものに興味を持っているなど、問題
意識の高い学生に来てもらえればと思います。ただ、逆に見ると、それほど問題意識が高くな
い学生でもかまわないと思います。入学してから伸びて、問題意識を持つようになればいいと
思いますし、異なる考え方の学生がいることで、教育効果は高まる面もあります。とにかく、
何かに関心を持っている学生が一番いいと思っています」

授業もクォーター制のため、週2回同じ科目の授業が行われる。アクティブラーニングを取り入れた授業が多いのも特徴だ。地域創生の人材は、地方出身者でないとできないわけではない。首都圏の高校生も、地方で活躍するきっかけがこの学部にある。
地域活性化のリーダー育成は、まだ始まったばかりだ。

安田賢治
柏木正博学監

 

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