【大学就職データ③】有名企業に強い大学はここが違う!

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就職率は高いに越したことはないが、その就職先にも注目したい。
就職率は驚くほど高くなくても、有名企業に強い大学は数多くあるのだ。
そうした大学はどこが違うのだろうか、検証してみた。


受験生が大学を選ぶ際の重要項目に就職がある。就職力を見る指標として分かりやすいのは就職率であり、その高さを強調する大学は多い。そうした視点で大学の就職率を検証すると、難関大の就職率は意外に高くないことが分かる。
大学通信が医学科と歯学科の単科大学を除く全ての大学を対象に行っている就職状況調査によると、今春卒業した大学生の実就職率(就職者数÷《卒業者数―大学院進学者数》×100で算出)の平均値は86・3%で、90%を超える大学も数多くある。そうした中、日本で最難関の東大の実就職率は、70・1%と必ずしも高くはないのだ(表参照)。京大も76・4%と低い。私立大では早慶が共に83%台で、大学全体の就職率の平均値に近い。表中で実就職率が90%を越えているのは、東京理科大、一橋大、東京工業大、名古屋大、青山学院大の5校のみだ。

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もちろん、このような状況にあっても、表中の難関大の就職力が低いと感じる人は皆無だろう。それは、有名企業に強いという印象が強いからではないか。実際に有名企業の就職に強く、今春の東大全体の就職者3863人中の内訳を見ると、1489人が日立製作所やトヨタ自動車などの有名企業に就職しており、就職者全体に占める割合は38・5%に上る。京大は全就職者3116人の42・5%に相当する、1325人が有名企業に就職しているのだ。
一橋大や東京工業大など、実就職率が高い上に、その内訳も半数以上が有名企業という大学もあるが、多くの難関国立大は飛び抜けて実就職率が高いわけではない。早慶も早稲田大は全就職者9159人の内、44・8%に相当する4103人が有名企業に就職している、同じく慶應義塾大の総就職者に対する有名企業の占有率は早稲田大を上回る56%だ。
これらの大学が有名企業に強いのはどのような要因があるのか。分かりきった話だが、第一には優秀な学生が入学していることにある。企業は論理的で明快な考え方や批判精神といった、地頭の良さを求めているのだ。さらに、リクルートキャリア就職みらい研究所の調べによると、企業が採用基準として重視する項目は、「人柄」「自社/その企業への熱意」「今後の可能性」の3つであり、こうした条件を満たしている学生は就活に強い。この企業が学生に求める3項目の内、「今後の可能性」は能力と意欲の総合判断だという。地頭の強さと入社後の可能性を感じさせる学生が多い大学が有名企業に強いのだ。
もちろん、いくら有名企業に強くても、未就職者が多く大学全体の就職率が低くては意味がない。表中の難関大の就職率が低いのは、学生の多様性が大きな要因となっているようだ。公務員試験などの資格取得準備や起業、NPO法人への参画など、自らを生かすことができる場を一般企業以外に求める学生が一定数いるため、実就職率が上がり難いのだ。
さらに、日本の枠組みにとらわれず、グローバルな活躍を目指す学生が多い大学も実就職率は上がり難い。学生が日本を離れて海外で就活を行い現地で就職した場合など、その動向の捕捉が難しく、就職者数にカウントできないケースも多々あると思われる。
何れにせよ、有名企業に就職する力がありながら、実就職率が低い大学は、学生に対して多様な選択肢を提供できる大学が多いといえよう。教育、研究環境の充実。総合大学ならではの多様なバックボーンを持った学生同士の交流、留学生が多い大学では、日本人以外の多様な価値観の中で揉まれることで、新たな気づきを得ることもあるだろう。
そうした大学は、表中の大学以外にもある。例えば、横浜国立大や国際基督教大は、全就職者の3割以上が有名企業に就職するが、実就職率は83%台と、それほど高いわけではないのだ。
一般的な就職率には現れない進路を選ぶ大学生もいる。大学の就職力は、就職率だけで測ることはできない。オープンキャンパスや卒業生の口コミ、ホームページなどを通して、大学の真の就職力を検証することも進路指導の視点として持っておきたい。