【東洋大学・加藤健二氏に聞く!】待ったなしの高大接続改革に新たな入試方式で答えを出す

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42_kato_mg_4003高大接続改革により、センター試験に代わる大学入学希望者学力評価テストを軸とした、学力の3要素を、多面的・総合的に評価する選抜が始まる。学力評価テストの英語は、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が問われる。そうした中、東洋大学は、高大接続改革の理念に即した新入試を導入する。一体どのようなものなのか。来春開設予定の新設学部・学科の状況と共に、入試部長の加藤建二氏に聞いた。


―Web授業を活用した、日本初の入試方式を実施するとのことですが、どのような経緯で導入を決めたのでしょうか。

 首都圏の大学を志望している地方の受験生は、地理的条件や情報量、経済面など、多くの部分で首都圏の受験生より不利です。こうした地域格差を解消するために、来春新設予定の情報連携と国際の2学部で「Web体験授業型入試」を導入します。大学はもちろん、自宅にいながらパソコンで受験することも可能です。これまでの情報提供・出願・合格発表・入学手続きに加え、入試もWeb化することにより、全ての入試プロセスが地元で完結します。

東洋大学は、専任教員の授業をWeb上で体験できる「Web体験授業」を16年7月現在、140本公開しています。視聴は無料で、最終的に500本の公開を目指しています。新入試に使用する授業も、9月1日から公開しています。受験希望者以外の人も視聴可能なので、まだ存在しない、新学部の授業を体験してみてください。

【プレゼンテーションと質疑応答を組み合わせて学力の3要素を問う】

―入試はどのような流れになりますか。

「Web体験授業型入試」は、AO型推薦入試の一環として実施します。指定されたWeb体験授業を視聴することから試験が始まり、次にそこで提起された課題の解決方法を調べ、考察してプレゼンテーションの資料等を作成し、大学に提出します。その後行われる試験は、大学もしくは自宅のパソコンを通して、提出資料に基づくプレゼンテーションと質疑応答を行います。

授業を視聴した後、一定の期間を使って深掘りした資料を作成して入試に臨むという、一連のプロセスを経て、「基本的な知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学習意欲」といった学力の3要素を多面的・総合的に評価することが狙いです。

―採点の公平性は担保されますか。

本人がプレゼンテーションした内容に対する質疑応答なので、全員が同じ環境で同じ質問を受ける形にはなりません。1点刻みの点数ではなく、アドミッションポリシーに合致するかが合否の分かれ目になるため、テストの公平性の考え方が変わらざるを得ない入試といえます。合否基準の説明は難しいですが、入試要項に記載された書類選考や面接などの配点を見れば、大学が何を求めているのか分かると思います。

【新学部を通して、国際社会でイノベーションを起こせる人材を養成】

―新入試を導入する2学部は、スーパーグローバル大学に採択され、大学全体の国際化の先導を託された、東洋大学らしい学部と聞きました。

情報連携学部と国際学部は、同時期に新設される国際観光学部、既存の文学部に新設する国際文化コミュニケーション学科とともに、東洋大学のグローバル化を牽引する基幹学部です。 情報連携学部は、コンピュータ・サイエンスをベースにして、多様な人々と連携できる力、システムを連携させる力を身につけることによりイノベーションを起こせる、今の日本に最も必要とされている人材を養成します。教育手法は、連携に不可欠なコミュニケーション能力を醸成するためにチーム学習を基本とし、その具現化のための専用校舎を赤羽台キャンパスに開設します。情報連携学部の完成年度までには、留学生の比率を10%以上とし、1学年40人から50人程度受け入れたいと考えています。

国際学部はグローバル・イノベーションと国際地域の2学科で構成されます。教養教育を中心としたグローバル系の学部や学科が多い中、グローバル・イノベーション学科は、経済・経営系を中心とした分野でイノベーションを起こせる、国際社会のニューリーダーをオールイングリッシュの環境で養成します。1学年の定員100人中、30人は留学生です。日本語を話せない学生との協働のグループワーク学習や全員必須の1年間の海外留学を通じて、世界で物怖じせずに発言できる学生に育てたいと考えています。一般的な入試で入学する日本人学生の英語力は未知数ですが、専用の学習サポートスペースを設けるなど、きめ細かな英語指導を行います。

グローバル・イノベーション学科の授業は、全て英語で行うこともあり、先のWeb体験授業型入試では、英文でのレポート提出の他、英語による対面型の試験を実施し、4技能を見ます。レベルは概ね英検2級程度になる予定です。

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【高大接続改革の完成形を目指して最良の入試方式を探る】

―高大接続改革のテーマの一つである英語の4技能を見るため、一般入試で外部英語試験を活用するそうですね。

一般入試前期のすべての日程で外部英語試験のスコアを本学の英語試験の得点に換算し、合否を判定する入試を実施します。定員は約2800人です。この方式では、本学の英語試験を受験するか、外部試験を利用するかを受験生が選択でき、外部試験を利用した上で、本学の英語試験を受験した場合は、高得点の方を判定に採用します。外部英語試験スコアの換算点は、東洋大学のレベルにふさわしいものとするため、外部英語試験の実施団体と綿密な協議をして算出しました。スコア提出者は、外部英語試験受験料の補填の意味もあり、通常3万5000円の検定料を2万円にします。

―高大接続改革に向けた今後の展開は。

現在は、学力重視の入学者選抜が中心ですが、それがベストだとは思っていません。Web体験授業型入試と一般入試における外部英語試験活用の二つの入試は、高大接続改革の完成形から見ればまだ途上ですが、こうした新たな取り組みを始めることにより、高大接続改革の理念を具現化できる、最良の入試方式を見つけ出したいと考えています。