【新入試・高大接続】知識偏重から多面的・総合的評価による入試に変わる

【新入試・高大接続】知識偏重から多面的・総合的評価による入試に変わる

高大接続改革の答えを待たず、大学入試が変わり始めた。
合否判定の基準について、知識量から思考力・判断力・表現力を問う方向に舵が切られようとしている。


2020年に向けて高大接続改革が進む。新たな入試の潮流は、各大学にフィットする学生の選抜が求められること。「ディプロマポリシー」で卒業生像を示し、その養成のための「カリキュラムポリシー」を策定し、さらに、そうした大学教育にふさわしい学生獲得のための「アドミッションポリシー」を明確にした選抜が必要となる。

各大学はこの3つのポリシーを整備し、ふさわしい学生を選抜しなければならないのだ。このような選抜を行うには、従来の知識偏重の入試では困難。そこで20年以降の入試では、知識・技能に加えて思考力や判断力、さらに主体性や協調性を多面的・総合的に評価する丁寧な選抜が求められている。

推薦やAOでポリシーにふさわしい学生を選抜する丁寧な選抜が求められている。

【推薦やAOで3ポリシーにふさわしい学生を選抜】

そうした流れはすでに始まっている。3ポリシーに則った丁寧な選抜には、推薦やAO入試が馴染む。今春は東大が推薦入試を導入し、京大は特色入試を実施した。これにより、旧七帝大全てが推薦もしくはAO入試を導入したことになる。東大と京大ともに、出願要件が厳しく定員割れをした学部学科もあったが、概ね新入試は成功したと判断しているようだ。東大は入学者を追跡調査し、今後、定員を増やすかどうか決めるという。

下の「多面的・総合的な評価による入試」の表では、難関国立大の推薦・AO入試と、私立大の一般入試について掲載した。(画像クリックで拡大できます!)

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前述の東大と京大に続き、来年は大阪大が推薦やAOで、能力、意欲、適性を多面的・総合的に評価する「世界適塾入試」を実施する。これに伴い、同大の後期の定員が完全になくなる。その影響は神戸大など周辺の後期が残っている大学の出願状況に現れそうなので要注意だ。

旧帝大の中でもAOの定員が多い東北大は、センター試験を課さないAOⅡ期を文、理、工、農で行い、センター試験を課すAOⅢ期を文と理を除く学部で実施する。東北大はAOに力を入れており、両方式を合わせた定員は500人近くになる。こうした背景には、AOで入学した学生の伸び代が大きいことがあるようだ。

国立大学協会は、推薦もしくはAOによる入学者を、募集定員の3割まで増やすとしている。表にはないが、千葉大・国際教養やお茶の水女子大、熊本大のグローバルリーダーコースなどで新たにAOを実施する。一般的な国立大学も多面的・総合的評価を導入する大学が増えるので、志望者の多い大学はチェックしておきたい。ただ、推薦やAOのための準備は、一般入試の手を休めてしまうデメリットがある。出願要件を満たすために、これからボランティアや課外活動などに時間を割くのは得策ではない。活用できるのは、大学が求める出願要件に合致している生徒に限られるということだ。

一般入試で多面的・総合的評価を行う私立大は多くないが、国際基督教大のB方式は、英語外部試験のスコアと総合教養、個別面接で合否が決まる。

総合教養は、講義を聞いた上で設問に解答するもので、思考力や判断力が問われる。総合教養は学科試験で選抜する、A方式でも課される。成蹊大・経済は、「センタープラス多面評価型入試(M方式)」を行う、センター試験の成績に加え、グループ面接により主体性や協調性、論理的思考力を評価する、将来を先取りした入試だ。立命館大・経営の「経営学部で学ぶ感性+センター」方式では、地図を見て思うことをビジネスと関連付けて論述するなど、「経営学部で学ぶ感性」を問う。

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