【成蹊大学】多科目型「センター試験利用入試」を拡充

【成蹊大学】多科目型「センター試験利用入試」を拡充

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成蹊近先生2016年度入試で大学入試センター試験を利用した私立大学は527大学と、私大全体のおよそ85%に上った。こうした中成蹊大学(東京都)は1997年のセンター試験導入以来、学部のアドミッション・ポリシーに応じて複数の方式を開発。今春はセンター試験に面接を組み合わせた新入試方式を実施した。その目的と展望について、成蹊大学理工学部教授で入試センター長の近 匡(こん ただし) 氏にお話を伺った。


―成蹊大学のセンター利用入試が充実しています。

 本学は「3教科型学部個別入試」と、2教科で行われる「全学部統一入試」のほかに、大学入試センター試験を利用した四つの入試を実施しています(表参照)。

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成蹊大学のセンター利用入試(クリックで画像を拡大できます)

 このうち、センター試験の得点のみで合否を判定するのが、全学部で導入の3教科型入試(C方式)と、理工学部の「4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」です。これに、センター試験に独自試験1教科を課す「5科目型国公立併願アシスト入試(P方式)」と、今春からはグループ面接を取り入れた「5科目型多面評価入試(M方式)」が加わりました。
受験生がそれぞれの個性を活かし、実力を発揮できるように考えられた入試を複数の方式において実施しているのが本学の特徴だと言えます。

 

【個別試験でグループ面接を課す、センター利用入試を経済学部で実施】

―いまお話しいただいた「5科目型多面評価入試(M方式)」は、2020年から始まる大学入試改革を先取りした入試として注目を集めています。 

 これは、センター試験5科目の得点に加え、本学独自試験としてグループ面接を課し、総合的に評価を行って合否を判定するというものです。

 一般入試におけるグループ面接は、一部の国公立大学や私立の医療系学部などで実施されていますが、私立の社会科学系である経済学部で行われるのは、国内では初の試みではないかと思います。

 センター試験5科目の得点はもちろん重視しますが、一組5名程度、およそ40分をかけて行われるグループ面接の評価で、順位が逆転することがある入試です。仮にセンター試験で不本意な結果の科目があっても、挽回を図ることが可能です。また、グループ面接では事前課題や書類などの準備の必要がなく臨めることも大きな特徴となっています。

 

ー大学入試改革では、知識や技能を1点刻みで評価する選抜から、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」までを総合的に評価する選抜へと大きくシフトします。成蹊大学の新入試は、こうした動きを先取りしたものですね。 

 これまでのように学力偏重で、一回の筆記試験だけで合否を決めるのではなく、多面的に学生を評価する。それがグループ面接導入の狙いです。敷延して言えば、試験の結果だけに左右されず、しっかりと勉強に取り組み、前向きに将来を歩もうとする人が多いほど、社会全体に良い影響が生まれるのではないでしょうか。

 多面的・総合評価型の入試は、従来の入試に対する考え方を大きく変える可能性のある入試であると思っています。
―グループ面接の選考のポイントは?

 受験生がこれまでに打ち込んできたことや、経験を積み重ねてきたことに加え、将来に向けて積極的にチャレンジしようとする意欲や姿勢を評価します。

 コミュニケーション能力や発信力は数値化できるものではありませんが、自分の得意な分野をどれくらい把握できているかということと、それを踏まえて、どのような将来図を描き、自分がどんな方向に進んでいきたいのかを表現できるかがポイントになります。

 また、グループ面接の趣旨として、ほかの受験生と無関係に自分自身を主張するのではなく、皆の話をきちんと聞き、会話のキャッチボールができる、そういう受験生が評価されるでしょう。

 

―大学入試全体を見渡しても、この数年で多科目型のセンター試験を利用した入試方式が増えた印象があります。

 大学受験の場では、文系の受験生の多くは理系科目を、理系の場合は文系科目を最低限の学習で済ませて、大学に進学しているケースが多くみられます。

 しかし、社会のあらゆる面で急激に変化が起こる現在では、複合的な問題にも対応できる素養を持った人材が必要です。

 こうした時代の要請に応えるため、成蹊大学では受験シーズンを通して最後まで多科目を勉強してきたにもかかわらず、大学への入学を果たせなかった国公立大志望タイプの受験生に注目しました。入口の段階において学習意欲の高い受験生にアプローチしていくことが、これからの社会の要請に大学として応えるためには欠かせないと考えたからです。

 

―成蹊大学のセンター試験利用入試は、他大学の方式と比べ、国公立大学志望のオールラウンド層の受験生も併願しやすいですね。

 前述の「5科目型多面評価入試(M方式)」と、文系3学部で実施の「5科目型国公立併願アシスト入試(P方式)」、それに理工学部「4教科6科目型奨学金付入試(S方式)」の三つのセンター利用入試では、国公立大併願者が出願や入学手続で不利にならないよう配慮しています。

 出願締切日は、P・S方式はセンター試験後の1月20日に組まれており、自己採点を行った後に出願ができます。またM方式も2月27日が出願締切日となるため、国公立大学前期日程試験後に出願可能です。

 入学手続締切日は、P・S方式が国公立大学前期の合格発表後の3月10日、M方式は国公立大学後期の合格発表と重なる3月22日に組まれています(日程はいずれも17年度入試)。

 このように、本学の多科目型入試では、国公立大志望の受験生にも心理的、経済的な不安を抱えることなく入試に臨んでもらうことができます。

 

【文理の枠を越えた幅広い学びが未来社会を切り拓く力となる】

 

―各大学で実施される入試は、その大学がどんな学生を求めているかという重要なメッセージでもあります。 

 今春スタートした新入試が、キャンパスにどのような波及効果をもたらしていくか、我々も今後、しっかり追跡調査を行っていかなければなりません。

 例として、私の所属する理工学部には「理工学特別選抜コース」があります。これは成績が優秀な学生に開かれた、大学院進学も見据えた特別コースですが、例えば私の学科では、今春配属された新3年生のうち約2割がS方式、すなわち多科目型の入試による入学者でした。文系・理系の教科にとらわれず学習し、学力を蓄えてきた学生が、入学後も高い学習意欲を維持していることが証明されています。

 

―多科目型入試で入学した学生が、四年間で大きく成長するためのさまざまな〝仕掛け〟も講じられています。

 本学は経済学部、法学部、文学部、理工学部を一つのキャンパスに擁する総合大学です。文理の枠を越えて多くの科目を勉強した受験生は、すべての学部が一つのキャンパスに集う本学だからこそ、入学後に活躍できるチャンスが広がっていると考えています。

 たとえば、学部の専門性を高めると同時にグローバル力を身につける選抜型の「成蹊国際コース」では、学部横断型の授業が行われます。また、学内研修と企業でのインターンシップからなる人材育成プログラム「丸の内ビジネス研修(MBT)」(※)でも、同様に4学部の学生が一丸となり、課題に取り組むプログラムが編まれています。

 普段から、学生自身が学ぶ専門科目とは異なる分野の研究や考えに触れながら、友人関係を築くことができる。多科目型入試で入学した学生の多くは、こうした環境にいち早く順応し、大学の中心的な存在となって、学びの軸となるゼミや課外活動の場で躍動しています。その結果、学生生活の満足度が高い傾向にあります。

 卒業生については、バランスの取れた教養を備えていることに加え、「協調性」「コミュニケーション能力」の点で社会から評価を得ています。

―今後の入試への取り組みについてお教えください。

 成蹊大学ではこれまでもセンター試験利用「3教科型入試(C方式)」において、社会科学系の経済学部・法学部と人文学系の文学部でも「数学」「理科」が、理工学部でも「国語」が選択受験できるなど、選択科目に幅を設け、受験生が最良の進路選択ができるよう門戸を広げて入試改革を実施してきました。

 今後も本学が独自に実施する「2教科型全学部統一入試(E方式)」「3教科型学部個別入試(A方式)」と、センター試験利用入試やセンター・独自併用入試の実施により、質の高い受験生の受け入れに努めていきたいと思っています。
―本日はありがとうございました。

 

(※)成蹊大学の教育方針に賛同した複数の有力企業の協力のもと、3年次の4月から学内および東京・丸の内で4カ月以上にわたる事前研修を実施。8月中旬から9月上旬まで各企業でインターンシップ実習に取り組み、秋の学内個人発表会、丸の内成果発表会で自己研鑽の成果を総括、報告する。「自ら課題を発見し、解決できる人材の育成」が目的。

 

【取材協力】

成蹊大学

東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1入試センター Tel. 0422-37-3533

成蹊大学は教育者・中村春二が開塾した「成蹊園」に端を発す。「個性の尊重」「人格の陶冶」「勤労の実践」を建学の理念とした「成蹊実務学校」を1912年に創立。今村繁三(今村銀行頭取)が経済基盤を、岩崎小弥太(三菱財閥四代目社長)が経営基盤を整え、1925年、7年制の「成蹊高等学校」に発展。「少人数による個性尊重の人格教育」の伝統は、ゼミ・研究室での学びを中心とした学生と教員が至近距離で接する高い教育力として、旧制高等学校のリベラルな学風とともに現在も承け継がれている。

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